団地入り口をスロープ化、住民主体で取り組み/横須賀
全48棟が立ち並ぶ大規模団地の湘南長沢グリーンハイツ団地(横須賀市グリーンハイツ)の1棟が、マンション入り口付近を改修し、バリアフリー化された。高齢化で居住者が求める住みやすさが移り変わる中、同団地の管理組合が中心となって完成させた。
京急長沢駅前には高度経済成長期から人口増に応える形で、1975年から80年までに開発されたマンション群が広がる。全10ブロックに分かれた48棟に1036世帯が住む。現在は築30年以上がたち、住民の多くは団塊世代が占める。
現在の多くのマンションは建設時にバリアフリー化されているが、当時は異なる。「団塊」の親世代は80、90代で、介護を必要とする住民もいて「(高齢者が使う)荷車を下ろしづらい」「階段がしんどい」という声が上がっていた。
一般的にマンションの管理、運営は業者に委託することが多いが、同団地の管理組合は住民が主体的に取り組んでいる。今回工事が行われた1棟(7階建て、105世帯)では10年前から住民ニーズに合わせた改修案が持ち上がっていた。組合は3年前から修繕積立金を始めた。年金受給者も多いため、組合理事長の後藤邦章さん(64)は「管理費を引き上げるのは難しかった」。時間はかかったが、副理事長の森下弘計さん(65)は「工事計画から見積もりまで自分たちでやった」と言う。
昨年12月に話がまとまり、今年6月に着工し、今月22日に完成した。歩道から建物入り口までの途中にあった22段の階段を歩いて通れる約50メートルのスロープにした。
施工に当たった地元の武尊建設(横須賀市長沢)の内藤義和代表取締役は「団地の組合からこういう工事を請け負ったのは初めて。住民の努力で実現された」と喜ぶ。一方で「工事をやりたくても、できないところもあるだろう」と話した。
今後、さらに高齢化は進み、建物の老朽化も進む。だが、大規模修繕には多大な資金がいる。森下さんは「ほかの団地でも困っている人がいると思う。ただ、いい答えを見つけるのはなかなか難しいのも事実」と、住民同士が知恵を出し合いながら取り組む重要性を指摘している。
神奈川新聞にグリーンハイツの工事が取り上げられました。
- 路面標示「ゾーン30」のカラー化3箇所
- 太田和2丁目公園壁面緑化